教員による図書紹介(村上ゼミ)


藤原辰史『給食の歴史』(岩波書店、2018年)

みなさんは、これまでに給食に苦しんだことはありませんか。食べるのが遅いこと、あるいは好き嫌いがあることを教員に叱責され、休み時間や放課後に教室に残された苦い思い出はありませんか。かく言う私にも嫌な思い出があります。今回紹介する本は、身近にはありながら、その歴史を考えることがほとんどないと思われる、給食に光をあてた『給食の歴史』という本です。


本書は、年号や人名の記憶に労力を費やすこととは異なる歴史の面白さを教えてくれる労作です。ここでは2つの点に言及しておきましょう。

ひとつは給食という食文化がもつ奥深さです。本書は、給食がもつ3つの側面、つまり大人による子どもへの権力行使、大人に関わる経済的利害の存在、子どもの成長を助け、場合によっては命をつなぐ機能をおさえたうえで、「給食の可能性のために書かれる」〔まえがきより〕ものです。

いまひとつは、研究主題との向き合い方です。文献から得られる知見のみならず、給食現場の声にも耳を傾ける著者の真摯な姿勢には、学生のみなさんにとって学ぶところが多いはずです。実際「ヨーロッパ史文献講読1」において本書を紹介した際には、受講生とともに給食について考える場を共有することができました。少しでも関心を持った人は、是非一度手に取って読んでみてください。

ゼミ紹介8(小原ゼミ-地理学、社会科教育研究ゼミ)

小原 友行(こばら・ともゆき)ゼミを紹介します。

1 ゼミの指導方針

★地域の「希望」を創造する人材を育成するために,「新しい発想,新しい文化の創造」
 を目指した挑戦的なゼミとしていきたいと考えています。
★学生自身がよりよい地域の未来を考えていく,社会貢献や地域貢献を目指した「サービス・ラーニング」「プロジェクト・ラーニング」「アクティブ・ラーニング」の取り組みを導入していきたい取り急ぎ。考えています。

2 ゼミの研究対象

★社会科や地歴科の教育に関心をもつ学生に対しては,例えば次の3つのような指導法を取り入れた,アクティブ・ラーニング型の授業開発に挑戦してもらいたいと思います。
① NIE(教育に新聞を)…新聞を活用した授業の開発
② MIE(教育にミュージアムを)…博物館や美術館と連携した授業の開発
③ RIE(教育に落語を)…文化としての落語の手法を取り入れた授業の開発


★地理に関心をもつ学生に対しては,例えば次のような,「地域の希望を見つける」「地域に希望を創造する」ことを目指した研究を期待したいと思います。
 ① 地域の里山・里海の再生
 ② 地域における観光地理
 ③ 地域のブラタモリ型地理の発見


3 具体的な指導の内容

3年次のゼミでは
学生一人ひとりが卒業論文の研究テーマを発見することができるように,備後地域の学校・博物館等の教育施設や里山・里海を活用した官公庁・企業・観光施設等のフィールドスタディを教員と学生が協働で行います。そのことを通して,研究の意味や方法,社会人としてのコミュニケーションのあり方等についても指導したいと考えています。


4年次のゼミでは
学生一人ひとりの卒業論文のテーマについて,各自が研究した成果を発表し,それを教員と学生との対話を通して深めていく。そのことを通して,卒業論文にまとめていきます。


4 2018年度の「文化演習Ⅰ・Ⅱ」における「新聞記者になる」の取り組み
★「文化演習Ⅰ・Ⅱ」の授業の全体像を紹介します。

【前期】
◎地元紙である中国新聞の地方面の下記の記事から,備後地域の希望がみられる記事を選択して紹介する。


◎新聞記事に掲載されている人物や施設を見学し,インタビューする。
(休耕田を活用した御調町のグリーンパパイア,地元でアンネと出合える福山市のホロコースト記念館などを訪問)


◎中国新聞尾道支局の田中謙太郎記者の書いた記事を読む。
 ① 「小規模校の挑戦 地元からの進学増探る」(中国新聞,2018年4月2日)
 ② 「廃校活用 島の魅力発信」(中国新聞,2018年4月25日)など


◎支局を訪問し,新聞記者から取材の方法を聞き取る。(田中謙太郎記者への取材)


◎これまでの取材にもとづいて,「はがき新聞」を個人で作成する。


【後期】
◎「しまおこし新聞」づくり
・地域貢献にチャレンジしている広島県立瀬戸田高等学校の「しまおこし事業部」の高校生を取材する。
・5名で役割分担(表面記事,裏面記事,社説,コラム欄,写真)して,A4版裏表の「しまおこし新聞」(一次案)を作成する。
・「しまおこし新聞」一次案を全員で検討し,改善案を話し合う。
・改善案(二次案)を作成し,広島県立瀬戸田高等学校に送付し,改善意見を求める。
・改善意見に基づいて,「しまおこし新聞」(三次案)を作成する。
・見出しについて,中国新聞読者広報室に意見を求める。
・意見を参考にしながら,「しまおこし新聞」(完成版)を作成し,瀬戸田高等学校および田中謙太郎記者に送付する。


◎各自の新聞づくり
・各自が興味・関心をもった取材対象・地域を見つけ,新聞記者として取材する。
・5名がそれぞれ各A4版裏表の新聞作成にチャレンジする。

 
★授業の様子を写真で紹介します。いろんな人を取材に出かけました。

★受講生が協働で作成した「しまおこし新聞」 


5 2019年度の「文化演習Ⅰ・Ⅱ」における「瀬戸内創生をデザインする」の紹介
★「文化演習Ⅰ・Ⅱ」の授業の全体像を紹介します。

【前期】
◎昨年度の取り組み「新聞記者になる」の振り返りと,本年度の課題を確認する。
◎地元紙や全国紙の地方面の記事から,備後地域の「希望の物語」がみられる記事を探し紹介する。
 
◎地元紙である中国新聞の地方面の連載記事(「芸北交流の架け橋 しまなみ海道20年 第1部「地域振興」)から,しまなみ海道に代表される瀬戸内地域の課題やそれを克服しようとする挑戦の取り組みを読み解く。

◎新聞記事に掲載されている「もの・人・こと」についての取材(調査・見学・聞き取り)を行う。(例:観光冊子「鞆の浦」を開発した小学校6年生のふるさと学習,小さな福山市立動物園の地元密着型チャレンジなど)
◎取材内容に基づいて,「はがき新聞」「コラム」「投稿欄」などに表現する。
【後期】
◎瀬戸内地域の課題を認識したうえで,「瀬戸内創生」をデザインし,それを「はがき新聞」に表現する
◎受講者が役割を決めて,独自の視点から興味・関心をもった「鞆の浦」地域の取材対象を見つけ,新聞記者としての取材を試みる。(以下は,現在進行中
◎取材した内容を持ち寄り,「鞆の浦」の新たな観光価値を話し合う。
◎新たな観光価値を発信する新聞作成にチャレンジする。

 

6 2019年度ゼミ生の卒業論文題目
★5名のゼミ生は,次のようなテーマの卒論に取り組んでいます。
「映画舞台としての尾道の魅力」
「これからの平和教育について〜731部隊を例に考える〜」
「尾道市の空き家活用デザインの提言~再生の視点から~」
「地域活性化の成功事例から考える 人吉市の活性化について」
「神楽による地域活性化~若者が熱狂する「ひろしま神楽」「石見神楽」を例に~」
 
 

 



 
 
 
 
 




 

 

 

 


 
 



 










 










 









 










 








 
 

 
 

 
 
 
 



















ゼミ紹介7(村上ゼミ-ヨーロッパ史研究ゼミ)

今回は、村上ゼミについてご紹介します。
以下は、ゼミ生による紹介文です。

◎先生はどんな人?

村上先生は、親しみやすい先生です。様々な相談にも乗ってくださり、ゼミ面談の時も丁寧な対応をしてくださいました。また、家族想いな所も魅力の一つです。

先生の専門分野は近代ハプスブルク史で、担当科目は世界史、生活文化史、ヨーロッパの歴史と文化などがあります。主に政治史や経済史を取り扱っていますが、文化史にも造詣が深いため、幅広く学べます。
本棚には素敵な写真やマスコットも
◎ゼミの雰囲気は?

4年生6人、3年生7人で構成されています。様々な分野に興味を持っている人が集まっているので、意見交流の場では、自分が持っていない視点からの意見がもらえます。

ゼミ生の研究内容はナチス(ドイツ)、外国から見た日本、都市問題、フェアトレード、スポーツの歴史、食文化、サブカルチャー(仮面ライダー)などの幅広い分野にひろがっています。
先生の著書や翻訳書も並びます
◎最後に一言!
少しでも興味を持った方は、是非、村上ゼミの扉を叩いてください!!

【学科HPから移行】井伏鱒二文学・宮沢賢治文学研究室

福山大学人間文化学科日本近現代文学研究室では、2007年から地元の文豪、井伏鱒二の「在所もの」を取り上げて、その舞台や小説に描かれた地域文化の調査を続けてきました。これまで取り上げた小説は、「朽助のゐる谷間」、「鐘供養の日」、「田園記」、「海揚り」、「鞆ノ津茶会記」です。


2016年は、その調査において出会った井伏の福山中学時代の同級生、高田類三氏のご子息奎吾氏から井伏の類三宛未公開書簡がもたらされ、今後の研究の拡張と本格化が可能となったところです。そして、今年度から文部省科学研究費の交付金による新たな調査を始めることとなりました。研究調査10年目の成果です。

また、本研究室では、宮沢賢治学会、中四国宮沢賢治研究会との連携で、井伏鱒二と宮沢賢治の文学を比較するシンポジウム(宮沢賢治学会福山セミナー)を実施してきました。宮沢賢治は井伏鱒二の2歳違いの同時代人であり、同時代の文学として共通するところがあります。今回の井伏鱒二の書簡調査においても、その共通点が予想されています。


これを機に、学生とのフィールドワークや、井伏未公開書簡の研究チーム(本学教授 青木美保、兵庫教育大学大学院教授 前田貞昭氏、本学非常勤講師 谷川充美氏)による調査の情報を、随時報告することとしました。手始めに、昨年度ゼミ生と実施した「鞆ノ津茶会記」フィールドワークの報告書をアップします。

■第一回 高田類三宛井伏鱒二未公開書簡調査(高田家家蔵資料調査)報告




教員による図書紹介(清水ゼミ)

清水です。

かなり空いてしまいましたが、ゼミ毎の書籍紹介です。
今回は、清水ゼミで扱った書籍の中から一冊を紹介します。

ゼミの性格上、中国に関するものを時々読みます。

私から「これを読むぞ」というのではなく、学生の希望を聞いた上で、それに合ったものを私が選んでいます。今年は、こちらを選びました。


江戸後期の作家、上田秋成(1734-1809)による怪異小説集です。
江戸後期に流行した伝奇小説は、「読本(よみほん)」とも呼ばれます。

『雨月物語』が収録する小説の舞台はもちろん日本ですが、もともとは中国の小説から取材したものが多いのです。完全なオリジナルではないものの、その文章を読んでいくと、秋成の鋭く豊かな創意が感じられます。

『雨月物語』に限らず、日本人作家による物語の中には中国の小説を翻案したものが多くあります。日本人による翻案の面白さ、独創性によって、外国の作品が日本でも読まれていったのです。このように、地域や時代を超えた「読み手の継承」を念頭に置きながら作品を読むことは大切です。

ゼミでは、『雨月物語』の中から「吉備津の釜」を選んで読みました(ご当地もの?) 浮気性の夫に裏切られた妻の恨みが死霊となって夫や浮気相手に襲いかかります。映像もなにもないのですが、その結末にはぞっとします。

興味のある方は、本書を手に取って想像力をかき立てられるもよし、映像を楽しむもよし(『雨月物語』は映像化もされています。Youtubeで検索してみてください。色々と出てきます)。秋成の怪異ワールドを味わってみてください。


2019年度 新入生オリエンテーション

今年度は、学科の定員(50名)を超える60名が入学しました。ここ数年、学科の入学者数は増えてきているのですが、オリエンテーションで、これだけ多くの学生が教室に集まることは初めてです。

入学式ではスーツでしたが、翌日は私服で。
恒例の時間割作成も賑やかに、そして順調に進み、途中、新入生の自己紹介も行われました。時間割作成では先輩たちもしっかりサポート。

キャンパス内の桜

そして、早いもので4月も終わろうとしています。今回の連休では、「平成」に別れを告げ、「令和」を迎えることになります。次に授業が始まる時は「令和」になっているんですね。今後、私たちは色々なところでそれを実感するのだと思います。

それではみなさま、良い連休を。

2018年度学位授与式(卒業式)

3月20日に学位授与式が行われました。
 



人間文化学科からは、Oさんが卒業生を代表して答辞を読みましたよ。お疲れ様でした。
春から新生活が始まります。卒業生のみなさん、健闘を祈ります!